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5月 30, 2015 - 煙突, 薪ストーブ    No Comments

薪ストーブの煙突と温度について

みなさん、こんにちは。

今日も昨日のブログ「煙突効果について」に引き続き、煙突と薪ストーブについてちょっと理論的な面から考えてみたいと思います。

 
今日考えてみるのは、温度とドラフト(煙突効果)の関係です。

温かくなってくるとドラフトが弱くなって燃えづらい、というのは薪ストーブユーザーであれば経験したことがあるのではないかと思います。

で、それを数式から見ていくとどうなのか?というのが今日のテーマです。

 
ではまず少しおさらいですが、下の式が煙突効果の働きを表している式です。

煙突効果の式

 
ここで、考察する条件として

外気温To
・「冬の場合」= 5℃
・「夏の場合」= 25℃

煙突内の温度Ti
・「着火直後」= 50℃
・「巡航運転時」= 200℃

として、合計4つの条件を組み合わせてそれぞれ計算してみました。

 
そして、その結果がこちらです!

 
温度による煙突効果の比較

 
これを見てみると、

・着火直後は外気温の違いによる影響は大きい

ということがわかりますね。

今回の温度設定だと夏と冬で約25%もの違いが出ています。

 
逆に、温度が上がってくれば、外気温によるドラフトへの影響は5%程とそれほど大きくはないこともわかります。

夏でも煙突が温まってしまえば、問題なく燃やせる、ということでしょう。
(そこまでしたい方がいるかは別ですが。。。)

 

 
そして、煙突内の温度が上がるとドラフトは約2倍になっていますね。
これは煙突内の温度を高くキープすることの大切さが表れていると思います。

 
煙突効果の式の注釈にも書いてありますが、煙突内の「平均温度」がドラフトに影響するので、例えば

・「煙突は吹き抜けをずっとシングル煙突」
・「ストーブの口元付近だけはすごい温度が高い」
・「でも上の方にいくと放熱して温度は低い」

という場合は、口元と外気温の温度差が大きくても、それほどドラフトは得られないことになりますね!

 
また、逆に断熱二重煙突をしっかり使って、素早く煙突内の温度を上げることができると、外気温によるドラフトの影響を受けづらいともいえます。

 

今回の煙突効果理論のシリーズは次回でとりあえずまとめです。

今日の最後の方に書いたような、煙突のプランニングと煙突効果の関係を計算しています。
是非お楽しみに!

5月 29, 2015 - 煙突, 薪ストーブ    4 Comments

煙突と薪ストーブの理論

薪ストーブと煙突の関係性はとても重要です。

ということは、今ではかなり認知されてきているのではないでしょうか?
今日は煙突の働きについて、そこで何が起きているのか?、理論的にはどうなの?ということに注目してみたいと思います。

というよりも、むしろ、個人的に興味があるので色々考えてみました。

興味の無い方には全く面白味のないブログかもしれませんが、どうぞお付き合いください。

 
煙突の役目は「ドラフト」と言われる、「煙を排気する上昇気流」を発生させることです。

ドラフトが発生することで、高機能な二次燃焼を備えた密閉型の薪ストーブでも、ところてん方式に薪を燃焼する為の「酸素」を取り入れることができます。

「排気量」=「給気量」

なので、ドラフトによって排気されなければ給気もされず、薪ストーブが燃えることはできないんですね。

 
さて、「ドラフト」の大切さが分かったところで、その仕組みに目を移してみましょう。

ドラフトが発生する原因は「煙突効果」という自然現象です。
その原理はまたの機会に触れるとして、数式で書くと下のようになります(なるそうです)。

クリックしたら大きくなります。
煙突効果の式

 
給気速度Qというのは1秒間の給気量を表しています。
つまりはドラフトの強さを表している、と言えると思います。

 
で、この式を見ると、

・煙突の径を大きくするとドラフトが強くなる
・煙突の高さを高くするとドラフトが強くなる
・煙突内部の温度を上げるとドラフトが強くなる
・外部温度が下がるとドラフトが強くなる

こんなことがわかりますね。

どれも薪ストーブ屋さんの中では良く知られていることですが、こうやって式に現れると面白いですね。

 
そして、この式を使って、

・煙突の径が変わると、どのくらいドラフトが変化するか
・煙突の高さが変わると、どのくらいドラフトが変化するか

ということを計算してみます。

煙突効果の計算

煙突を1m伸ばすと、理論上では大体10%くらいドラフトが強くなるんですね。
実感としてはもっと変化があるように思っていたので、少し意外です。

 
それと煙突径による変化は大きいです。

150mmというのは東京ストーブで扱っている薪ストーブの一般的な煙突径です。

200mmは大型の薪ストーブや開放型の暖炉なんかで使います。

100mmはホームセンターなどでも売っている細い煙突ですね。

 
100mmの煙突だと、150mmの煙突の半分以下のドラフトしか得られないんですね。
そして200mmにすると8割弱もドラフトが増すとは。。。

単純ですが、なんだか興味深い結果です。

 
ちなみに、煙突の径は大きくなりすぎると排気が拡散して冷却されるので、逆にドラフトが低下することにもなります。
この辺のバランスは難しいですが、一般的な薪ストーブと煙突の組み合わせであれば、それほど気にする必要も無いですね。

 
 
実は、まだまだたくさん計算したのですが、長くなったのでまた続きを書きます。
それでは今日はこのへんで。

アンコールのメンテナンスについて

薪ストーブはメンテナンスのシーズンに入って、東京ストーブでも続々とメンテナンス・煙突掃除のご依頼を頂いています。

冬の間頑張ってくれたストーブをメンテナンスすることは、とても大切です。
メンテナンス一つで薪ストーブの寿命や性能が大きく変わるだけでなく、そのシーズンの使い方がどうだったのかチェックする役割もあるんです。

 
ということで、本日はバーモントキャスティングスのフラッグシップモデル、アンコールのメンテナンスポイントをお伝えしたいと思います。
色々と細かい部分も含めるとかなりのボリュームになりますので、今回は入門編です。

 
さて、まず最初にチェックするのは触媒です。

アンコールは一昨年に発売されたフレックスバーンも旧型の触媒機も、この触媒と燃焼ボックス内の掃除が大切です。
現行のフレックスバーンに代わってこの部分のメンテナンス性は劇的に向上しました。

 
ということで、早速始めましょう!
まずはこちらのアクセスパネル。
アクセスパネル

このアクセスパネルを外します。
アクセスパネルの上部が、燃焼ボックス側の突起に引っかかって止まっているだけなので、下側を手前に引いてあげると簡単に外すことができます。

アクセスパネルを外す

外したアクセスパネルの内側がこちら。

アクセスパネルの裏側

排気経路で熱のかかる真ん中あたりは、表面が有れて色が変わっていますね。
もっとハードな使い方をしている場合だと、中の骨材(砂利のようなもの)が見えている場合もありますが、基本的には割れたりしなければ特に交換までは必要ありません。

アクセスパネルは落としたりぶつけたりして割ってしまうケースも多いので、気を付けましょう!

 
続いてアクセスパネルを外すとインナーパネルが見えてきます。
インナーパネルも乗っかっているだけなので、簡単に外れます。

インナーパネル

インナーパネルを外すといよいよ触媒が現れます。
ここまでの所要時間、およそ10秒程度!
なんとも簡単ですよね。

触媒

触媒の部分は灰が上に積もっていたりすると排気が悪くなってしまうので、綺麗に掃除しましょう。

触媒を掃除する

 
それともう一つ、ここでのチェックポイントは煙の排気経路です。

適切な燃焼が出来ていれば、写真のように排気経路は白~灰色の状態になります。
薪が湿っていたり、空気を絞り過ぎたり、ダンパーを閉めるタイミングが早すぎたりすると、ここが茶色や黒っぽくなったままになっているので、チェックしてみてください。

薪ストーブの中に残された痕跡から、ストーブの仕様具合までわかりますよ!
 
燃焼ボックス内

触媒を綺麗にしたら、今度は燃焼ボックス内の掃除です。
特に煙の排気経路にススや灰が溜まっていないか、チェックして掃除していきます。

下の写真の部分もよく灰が溜まっていたりします。

排気経路を掃除する

燃焼ボックス内の触媒の下の部分も灰や煤が溜まっていることがあります。
ここに灰と煤が溜まると排気が悪くなって、途端に調子が悪くなります。

ちなみに、背面側の白い部分は少し柔らかい素材なので、傷をつけないように気を付けましょう。

燃焼ボックス内を掃除する

 
 
 
 
続いてはガスケットの交換です。
ガスケットは扉などに使用されている気密を取るためのパッキンです。
アンコールに限らず、ほとんどの薪ストーブで使用されていますね。

アンコールの場合は主に4カ所のガスケットを重点的にチェックします。

まずはドア周りのガスケット。
ガスケットが劣化していないか、「当たり具合」はどうかチェックします。
ガスケットの確認

アンコールのメンテナンス (12)

ガスケットの当たり

注意深く見て頂くと、3枚目の写真のガスケットは辺りがイマイチなことが分かります。
ガスケットが当たっていた溝跡が真ん中ではなく、上側に寄っていますね。

気密が取れていればそれほど問題ありませんが、大抵の場合はこうなっていると気密が取れません。

そんな時はまず紙を使って気密チェックです。

ガスケットの気密チェック

写真のように、紙を挟んで扉を閉じた状態で、紙を引っ張って抜けなければOKです。
これがスッと抜けてしまうようだと気密が良くない状態なので、ガスケットの交換や扉のヒンジ部分の調整が必要です。

これはアンコールに限らず、どんなストーブでも起こり得ることなので、是非チェックしてみてください。

 
 
またガスケットは写真のように白い状態になっていたら、そろそろ交換の目安です。
熱が加わったり何度も開閉することで徐々にガスケットも劣化していきます。

ガスケット交換の目安

ガスケットの色の変わり具合もまた、ストーブの焚き具合のチェックになります。
余り温度があがらない箇所は白くならずに元の色だったりします。

 
 
アンコールの場合はドア周りの他にトップローディングを行うグリドル部分のファイバーロープ(ガスケット)も点検が必要です。

グリドルのファイバーロープ

この部分はワイヤーが巻かれたガスケットになっています。

 
そして忘れがちなのがアッシュドアのガスケットです。
ここのガスケットが劣化してくると途端に燃費が悪くなったりします。

アッシュドアのファイバーロープ

 
ちなみに、灰が溜まっているときにアッシュドアを開けると灰がこぼれて大変なことに!とならないように、写真のように新聞紙などをストーブの下と周囲に敷きましょう。

落ちた灰は新聞紙を丸めてそのまま捨ててしまえば楽ちんです!

アッシュドアを開ける

 
残るチェックポイントはダンパー周りなのですが、大分長くなりましたので、こちらはまたの機会に!

東京ストーブではメンテナンスを承っておりますが、ご自分でされる際のご質問もお気軽にどうぞ!

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